相続発生前だからこそできる土地の評価減3選
この記事の監修者
遠藤大樹
税理士法人シーガル
代表社員 税理士
医療専門会計事務所、税理士法人山田&パートナーズを経て、相続に強い税理士法人シーガルを設立。
わかりやすく説明することを大切にしており、多数の相続税申告実績がある。
中込政博
税理士法人シーガル
代表社員 税理士・公認会計士
あずさ監査法人、辻本郷税理士法人を経て、相続に強い税理士法人シーガルを設立。
神奈川県内の相続税申告実績が多数あり、円満な相続の実現をモットーとしている。
神奈川県茅ヶ崎市にある茅ヶ崎市、藤沢市、鎌倉市の相続に強い税理士法人シーガルです。
通常、相続が既に発生してしまった後にできるような節税対策はほとんどありません。
そのため、節税や争族回避のためには相続が発生する前に早めに相続対策を行う必要があります。
そこで今回は、相続に強い税理士が「相続発生前だからこそできる土地の評価減」について、わかりやすく解説していきます。
本記事を最後までお読みいただくことで以下の悩みを解消できます。
- 相続対策と言っても何をすればいいのか分からない
- 土地の評価額はどのようにすれば下げられるのか?
相続発生前だからこそできる土地の評価減3選
相続発生前にできる土地の評価減は大きく以下の3つが挙げられます。
- 小規模宅地等の評価減の特例を適用可能にする
- 貸家建付地評価を適用可能にする
- 使用貸借を賃貸借にする
土地の評価減①小規模宅地等の評価減の特例を適用可能にする
青空駐車場を営んでいる方
構築物が何もない青空駐車場は、小規模宅地等の評価減の特例の適用対象外です。
小規模宅地等の評価減の特例は、「建物等」の敷地等に供されている宅地が対象となっているためです。
この「建物等」というのは建物と構築物をいい、アスファルトは構築物に該当します。
したがって、青空駐車場にアスファルトを敷くことで、貸付事業用宅地等に該当し、小規模宅地等の評価減の特例の適用を受けることが可能となります。
ただし、アスファルトを敷くにはコストがかかるため、コストと比較して慎重に判断する必要があります。
また、小規模宅地等の評価減の特例を適用できる土地が青空駐車場以外にもある場合、どの土地で小規模宅地等の評価減の特例を適用するのが評価減の金額が大きくなるのか検討する必要があります。
- 小規模宅地等の評価減の特例を適用できるように、青空駐車場にアスファルトを敷く
- アスファルトを敷くにはコストがかかることに留意する
- 他の土地で小規模宅地等の評価減の特例を適用できる場合、どの土地で小規模宅地等の評価減の特例を適用すべきか検討する
二世帯住宅を購入しようとされている方
二世帯住宅とは、外見は1つの建物を2つの世帯が暮らす住宅のことです。
内部で行き来が出来ないように各世帯が完全に分離している場合には、例えば1階はA世帯、2階はB世帯というように区分所有登記をすることが出来ます。
区分所有登記である場合、小規模宅地等の評価減の特例は被相続人以外の相続人が居住していた建物に対応する土地については、小規模宅地等の評価減の特例は適用できません。
そのため、これから二世帯住宅を購入しようと考えている方は区分所有登記としないことを検討してみてください。
既に区分所有登記している二世帯住宅を共有登記に変更することは可能ですが、要件を満たすための準備や土地家屋調査士や司法書士などの専門家報酬が発生する点に注意が必要です。
なお、区分所有登記することによるメリットは、不動産取得税や固定資産税の軽減措置の適用を登記区分建物ごとに受けられる点が挙げられます。
上記の内容を考慮して区分所有登記とすべきか否か慎重に判断しましょう。
- 小規模宅地等の評価減の特例を適用できるように、共有登記にする(区分所有登記としない)
- 区分所有登記では小規模宅地等の評価減の特例は適用できないが、不動産取得税や固定資産税の軽減措置の適用は登記区分建物ごとに適用できる点に留意する
- 区分所有建物から共有登記に変更する場合、土地家屋調査士報酬、司法書士報酬が発生する点に留意する。
土地の評価減②貸家建付地評価を適用可能にする
賃貸不動産が空き家となっている方
賃貸不動産は、被相続人の相続開始日時点において入居者がいるかどうかで評価額が大きく異なります。
入居者がいない場合には、土地の評価額は自用地評価額となります。
しかし、入居者がいる場合には、土地の評価額は貸家建付地評価額となります。
貸家建付地評価とは、自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)で算定しますので、自用地評価額よりも土地の評価額を減らすことができます。
仮に、自用地評価額が1,000万円、借地権割合が60%、借家家割合が30%、賃貸割合100%とした場合、貸家建付地評価額は1,000万円×(1-60%×30%×100%)で820万円となり、通常の自用地評価額1000万円と比較すると180万円の土地の評価減となります。
- 貸家建付地評価をできるように、空き家となっている場合には、入居者を積極的に募集する
- 建物の老朽化により入居者が現れない場合には、リフォームなどを検討する
- どうしても空き家が続く場合、不動産賃貸事業の採算の面から不動産の売却も検討する
重要なのは相続開始日時点において入居者がいるかどうかです。
相続開始日時点において空き家で、その後相続税申告期限までに入居者が入ったとしても、その場合には自用地評価額となってしまいますので注意が必要です。
なお、本記事では土地の評価減に着目しているため詳細は割愛しますが、この対策を行うことで建物(家屋)の評価額も貸家評価ができるため、建物(家屋)の評価額を減らすことができます。
土地の評価減③使用貸借を賃貸借にする
無償返還届出書を提出しているが、使用貸借になっている方
法人が他人の所有する土地に建物を建てる場合、通常、権利金を収受する慣行があるにも関わらず権利金を収受せず、相当の地代を収受しないときは、借地権の認定課税が行われます。
しかし、賃貸借契約書において、将来その土地を無償で返還することが記載されており、かつ、無償返還届出書をその法人の納税地の所轄税務署長に届け出たときは、借地権の認定課税を回避することが出来ます。
この無償返還届出書を届け出た場合の借地権の相続税評価額は、使用貸借の場合には自用地評価額で評価されます。
ただし、相続開始時点において地代を「近隣相場水準の金額」または「固定資産税相当額の2~3倍以上」の金額で賃貸している場合の相続税評価額は、自用地評価額の80%で評価することとなります。
- 無償返還届出書を税務署へ提出する
- 使用貸借ではなく、賃貸借契約を締結する
- 地代を「近隣相場水準の金額」または「固定資産税相当額の2~3倍以上」とする
土地の相続対策に関する注意点
相続が発生することを見込んで、節税効果だけを目的とした行われた相続対策は税務署に認められませんのでご注意ください。
まとめ
今回は相続発生前だからこそ出来る土地の評価減を大きく3つご紹介しました。
相続対策は、財産状況やご家族状況によって対策すべきことや対策できることは大きく異なります。
相続対策を検討されている方は、相続に強い税理士にご相談いただくことを推奨いたします。
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