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2024.10.3

【配偶者居住権をわかりやすく解説】メリット・デメリットをまとめました

神奈川県茅ヶ崎市にある相続に強い税理士法人シーガルです。

2020年4月から「配偶者居住権」という制度が始まっています。

配偶者居住権には相続税の節税メリットなどがありますが、配偶者居住権を設定することによるデメリットも存在します。

そこで今回は、相続に強い税理士が「配偶者居住権のメリット・デメリット」について、わかりやすく解説していきます。

本記事を最後までお読みいただくことで以下の悩みを解消できます。

  • そもそも配偶者居住権とは

  • 配偶者居住権のメリットは?

  • 配偶者居住権のデメリットは?

  • 配偶者居住権を使った方がいいケース

配偶者居住権をわかりやすく解説

配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、わかりやすく言うと配偶者が亡くなった場合、残された配偶者が、亡くなった人が所有していた家に、一定期間または一生、住み続けられる権利のことです。

配偶者居住権は2018年相続法改正によって創設されたもので、2020年4月から施行されています。

【民法第1028条(配偶者居住権)】
第千二十八条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

配偶者居住権の成立要件

配偶者居住権の成立要件は以下4つです。

  • 相続開始時に被相続人が対象建物を所有していること

  • 相続開始時に配偶者以外の者と対象建物を共有していないこと

  • 相続開始時に配偶者が対象建物に居住していること

  • 配偶者が遺産分割協議、遺言などにより配偶者居住権を取得すること

相続開始時に被相続人が対象建物を所有していること

配偶者居住権の対象建物は、相続開始時点において、被相続人が所有している必要があります。

相続開始時に配偶者以外の者と対象建物を共有していないこと

被相続人の相続開始時点において、配偶者居住権の対象建物を配偶者以外の者と共有していた場合は配偶者居住権は認められません。

【民法第1028条(配偶者居住権)】
第千二十八条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

配偶者居住権が認められない理由は、「配偶者居住権」は配偶者に対象建物の全部について無償で使用及び収益する権利であるため第三者が共有持分を有する場合には妥当ではないためです。

相続開始時に配偶者が対象建物に居住していること

被相続人の相続開始時点において、配偶者居住権の対象建物を配偶者が居住している必要があります。
ここでいう「居住」とは、配偶者が対象建物を生活の本拠としていたことを意味します。

配偶者が遺産分割協議、遺言などにより配偶者居住権を取得すること

配偶者は、遺産分割協議または遺言により配偶者居住権を取得することができます。

また、死因贈与による配偶者居住権の取得も可能です。

なお、遺産分割が成立しなかった場合でも、遺産分割審判において次の場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得することが出来ます。

  • 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき
    →つまり、遺産分割で揉めているが、全ての相続人が「配偶者が配偶者居住権を取得すること」については納得しているとき

  • 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき
    →家庭裁判所は、以下①と②を比較衡量のもと配偶者居住権の取得判断を行います。
    ①配偶者に対して住み慣れた環境での生活を継続するための居住権を保証する利益
    ②配偶者居住権が設定されないことにより、自己の取得した建物所有権が制約されることについての建物所有者の不利益

【民法第1028条(配偶者居住権)】
第千二十八条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

【民法第1029条(審判による配偶者居住権の取得)】
第千二十九条 遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。
一 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。
二 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき
(前号に掲げる場合を除く。)。

配偶者居住権の存続期間

配偶者居住権の存続期間は、原則として終身です。
ただし、遺産分割協議や遺言で任意に期間を定めることも可能です。

相続人の同意により、配偶者居住権は期間を任意に定めることが可能です。

【民法第1030条(配偶者居住権の存続期間)】
第千三十条 配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。

配偶者居住権のメリット

配偶者が被相続人の家に住み続けることができる

配偶者が配偶者居住権を取得した場合、原則として配偶者が亡くなるまで、配偶者は今まで通り自宅に住み続けることができます。

仮に、自宅の所有権を相続した他の相続人が自宅を第三者へ売却したとしても、配偶者居住権を取得しているため、新たな自宅所有者から追い出されるようなこともありません。

配偶者により多くの現金などの財産を相続できる

例えば配偶者と子で法定相続分ずつ相続する場合、配偶者が自宅所有権を相続せずに、配偶者居住権を取得することで多くの不動産以外の財産(現金など)を配偶者に遺すことが可能になります。

理由は、配偶者居住権は自宅の所有権を相続するよりも高額になることは無いためです。

また、例えば配偶者が自宅所有権を相続した場合で、自宅の評価額が法定相続分を超えてしまった場合には、配偶者は他の相続人に対して代償金を支払わなければならなくなるケースも考えられますが、配偶者居住権であれば評価額が自宅所有権も低いので法定相続分を超えることを回避できる可能性があり、代償金を支払うリスクを抑制できます。

相続税の節税になる可能性がある

配偶者居住権を利用することで、二次相続時の相続税を節税できる場合があります。

配偶者居住権を取得した配偶者が亡くなった場合には、配偶者居住権は消滅します。

配偶者居住権が消滅する際には、相続税がかかりません。

配偶者居住権のデメリット

配偶者が存命中は自宅の売却が難しくなる

配偶者居住権が設定された不動産の売却は、購入希望者が少なく売却は難しいです。
配偶者居住権を生前に放棄する場合には、建物所有者に対して贈与税が課税されます

相続が発生してから数年後、「やっぱり自宅には居住せずに、自宅を売却して老人ホームに入居したい。」と考える方も少なくありません。

配偶者居住権が設定された自宅を売却するには、まずは配偶者居住権を放棄する必要があります。

配偶者居住権を生前に放棄する場合には、建物所有権を持った人に対して贈与税が課税されてしまいます。

配偶者居住権のメリットでも説明した通り、配偶者の死亡による配偶者居住権の消滅には相続税はかかりませんが、生前に放棄する場合には贈与税がかかってしまう点に注意が必要です。

このような事態を防ぐためには、配偶者居住権の設定期間については、将来の自宅売却可能性も考慮して設定しましょう。

固定資産税などの建物維持コストは配偶者が負担する

配偶者居住権を取得した配偶者は、日常的に発生する修繕費や建物の固定資産税相当について負担する必要があります。

なお、大規模修繕やリフォーム、増改築などを行う場合の費用負担は、配偶者ではなく原則として建物所有者が負担する必要があります。

【民法第1034条(居住建物の費用の負担)】
第千三十四条 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
2 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。

配偶者居住権を使った方がいいケース

配偶者居住権には前述の通り、メリット・デメリットがあります。

配偶者居住権のメリットには配偶者居住権の本来の目的は配偶者の生活を守ることや相続税の節税効果があるため、以下のいずれかに該当する場合には配偶者居住権の設定を検討しましょう。

配偶者居住権を検討すべき方

  • 相続財産の大半を自宅が占めている場合

  • 配偶者と子の関係が疎遠である場合

  • 相続人が配偶者と前妻の子である場合

  • 相続税を節税したい場合

まとめ

配偶者居住権のメリット・デメリットについて解説しました。

配偶者居住権はとても複雑な制度ですので、配偶者居住権の設定を検討されている方は相続に強い税理士にご相談いただくことをオススメします。

また、配偶者居住権の設定については登記が必要です。

税理士法人シーガルでは信頼できる司法書士を無料で紹介しておりますので、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

中込 政博

税理士法人シーガル

代表社員/

税理士・公認会計士

中込 政博

あずさ監査法人・辻本郷税理士法人を経て、税理士法人シーガルを設立。
難しく感じやすい相続の専門用語もわかりやすくご説明しますので、初めての相続の方もご安心ください!

遠藤 大樹

税理士法人シーガル

代表社員/

税理士・行政書士

遠藤 大樹

医療専門会計事務所・税理士法人山田&パートナーズを経て、税理士法人シーガルを設立。
シーガルでは年間60件の相続税申告実績がありますので、相続に不慣れな方へも丁寧にサポートします!

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