【相続税の家財一式】家庭用財産とは?相続税評価額はいくら?

この記事の監修者

遠藤大樹
税理士法人シーガル
代表社員 税理士

医療専門会計事務所、税理士法人山田&パートナーズを経て、相続に強い税理士法人シーガルを設立。
わかりやすく説明することを大切にしており、多数の相続税申告実績がある。

中込政博
税理士法人シーガル
代表社員 税理士・公認会計士

あずさ監査法人、辻本郷税理士法人を経て、相続に強い税理士法人シーガルを設立。
神奈川県内の相続税申告実績が多数あり、円満な相続の実現をモットーとしている。

神奈川県茅ヶ崎市にある茅ヶ崎市、藤沢市、鎌倉市の相続に強い税理士法人シーガルです。

相続が発生した際、不動産や金融資産だけでなく、家にある家具や家電製品といった家庭用財産(家財一式)も相続税の課税対象となります。

しかし、これらの家庭用財産(家財一式)は、相続税の評価額がどのように算出されるのか、よく分からない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、相続税における「家庭用財産(家財一式)」について、わかりやすく解説していきます。

特に、家庭用財産とは何か、そして家庭用財産(家財一式)の相続税評価額はどのように決まるのかについて詳しく解説します。

本記事を最後までお読みいただくことで以下の悩みを解消できます。

  • 家庭用財産(家財一式)とは?
  • 家庭用財産(家財一式)の相続税評価額はいくら?
目次

家庭用財産(家財一式)とは

家庭用財産とは、家具、家電製品、衣服、自動車、美術品、貴金属、電話加入権など日常生活で使用する財産のことをいいます。

家庭用財産は、家財一式とも呼ばれています。

この家庭用財産(家財一式)も現金や不動産などと同様に相続税の課税対象となりますが、家庭用財産(家財一式)が相続税の課税対象であることを知らずに申告漏れとなっていることが多いです。

家庭用財産(家財一式)の評価額が少額であったとしても、税務署から指摘されると修正申告の手間がかかります。
また、過少申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられてしまいます。

家庭用財産(家財一式)の相続税評価額【評価方法】

家庭用財産の評価単位

家庭用財産は一般動産に該当し、1個または1組ごとに評価します。

1個または1組の時価が5万円以下か5万円超かによって家庭用財産の相続税の評価方法は異なります。

【財産評価基本通達128(評価単位)】
128 動産(暖房装置、冷房装置、昇降装置、昇降設備、電気設備、給排水設備、消火設備、浴そう設備等で92≪附属設備等の評価≫の(1)から(3)まで及び132≪評価単位≫から136≪船舶の評価≫までの定めにより評価するものを除き、以下「一般動産」という。)の価額は、原則として、1個又は1組ごとに評価する。ただし、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で1個又は1組の価額が5万円以下のものについては、それぞれ一括して一世帯、一農家、一旅館等ごとに評価することができる。(平20課評2-5外改正)

財産評価基本通達|国税庁

時価が5万円以下の家庭用財産

1個または1組の時価が5万円以下の家庭用財産については、「家財一式」としてまとめて評価します。

家財一式の相続税の評価額は、10万円~50万円程度が相場とされており、一般家庭であれば10万円程度計上することが多いです。

ただし、申告すべき評価額は被相続人の財産状況によって異なりますので、不安な方は税理士に相談しましょう。

時価が5万円超の家庭用財産

1個または1組の時価が5万円超の家庭用財産については、財産ごとに個別に評価します。

1個または1組の時価が5万円超の家庭用財産については、原則として売買実例価額、精通者意見価格等(鑑定評価)を基に相続税の評価を行います。

ただし、売買実例価額や鑑定価額の予測が難しい場合には減価償却後の未償却残高を相続税の評価額とします。

減価償却費については、「耐用年数」は耐用年数省令に規定されている耐用年数を採用し、「償却方法」は定率法償却率を参考に定率法により償却します。

【財産評価基本通達129(一般動産の評価)】
129 一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

財産評価基本通達|国税庁

【財産評価基本通達130(償却費の額の計算)】
130 前項のただし書の償却費の額を計算する場合における耐用年数等については、次に掲げるところによる。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

(1) 耐用年数
 耐用年数は、耐用年数省令に規定する耐用年数による。

(2) 償却方法
 償却方法は、定率法による。

財産評価基本通達|国税庁

家庭用財産(家財一式)の相続税評価額【具体例】

家具

椅子、ソファ、棚、ベッド、テーブル、机などの家具などは、減価償却により価値が5万円以下になることが多いため、「家財一式」としてまとめて評価することが多いです。

ただし、高級家具や相続発生直前に購入した家具や、相続発生後に5万円超で売却した家具については売却見積価額などにより評価しましょう。

家電製品

冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、オーブンレンジ、トースター、パソコン、スマートフォンなどの家電製品は、減価償却により価値が5万円以下になることが多いため、「家財一式」としてまとめて評価することが多いです。

ただし、高額家電製品や相続発生直前に購入した家電製品や、相続発生後に5万円超で売却した家電製品については売却見積価額などにより評価しましょう。

衣服

衣服や衣類についても減価償却により価値が5万円以下になることが多いため、「家財一式」としてまとめて評価することが多いです。

ただし、着物などの価値が高い衣服やブランド衣類、相続発生直前に購入した衣服や、相続発生後に5万円超で売却した衣服については売却見積価額などにより評価しましょう。

自動車

自動車は売買実例価額や精通者意見価格等(鑑定評価)を確認しやすいため、実際の売却価額や中古車市場の相場等を参考に個別評価します。

家財一式には含めずに、個別に評価し相続税の申告書にも記載しましょう。

美術品

絵画、書画、骨董品などの美術品については、売買実例価額や精通者意見価格等(鑑定評価)を確認する必要があります。
実際の売却価額や買取査定価格等を参考に個別評価します。

実際の実務では美術品の鑑定士などに査定を出してもらうことが多いです。

なお、被相続人が美術品の販売業者である場合には評価方法が異なりますのでご注意ください。

【財産評価基本通達135(書画骨とう品の評価)】
135 書画骨とう品の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。

(1) 書画骨とう品で書画骨とう品の販売業者が有するものの価額は、133≪たな卸商品等の評価≫の定めによって評価する。

(2) (1)に掲げる書画骨とう品以外の書画骨とう品の価額は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。

財産評価基本通達|国税庁

貴金属

金地金、ネックレス、指輪なども売買実例価額や精通者意見価格等(鑑定評価)を確認しやすいため、実際の売却価額や買取査定価格等を参考に個別評価します。

金の相続税評価方法については、以下の記事に詳しく記載しておりますのでご確認ください。

電話加入権

電話加入権は、「家財一式」としてまとめて評価します

電話加入権は、2020年までは1回線あたり1,500円の標準価額で相続税の評価を行っていましたが、2021年以降に生じた相続については家財一式に含めて評価してよいこととなりました。

【財産評価基本通達161(電話加入権の評価)】
161 電話加入権の価額は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。(昭41直資3-19・令3課評2-26外改正)

財産評価基本通達|国税庁

家庭用財産(家財一式)の相続評価は税理士にご相談を

家庭用財産は、財産の種類や価値に応じて相続税の評価方法が異なります。

また、家庭用財産を個別に評価するのか、家財一式としてまとめて評価していいのか。

家財一式の金額は10万円でよいのか。等、家庭用財産に関する悩みは多くあると思います。

家庭用財産だけでなく、相続税の申告は複雑な手続きが伴うため、専門家である相続に強い税理士に相談することをおすすめします。

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