2025.10.20
【税理士が解説】年間110万円の非課税枠が全額課税に?!「定期贈与」の落とし穴と安全な対策

「毎年110万円ずつ贈与すれば、贈与税はかからない」
――これは、相続税対策の基本的な知識として広く知られています。
しかし、この方法を誤って実行すると、税務署から「定期贈与」と認定され、初年度に多額の贈与税が課税されてしまう大きなリスクがあることをご存知でしょうか。
この記事では、贈与税の非課税枠を安全に活用するための注意点として、税理士法人シーガルが「定期贈与」の危険性と、贈与を有効に行うための具体的な方法を解説します。

「定期贈与」とは?なぜ初年度に全額課税されるのか
失敗事例:10年間の贈与が初年度に贈与税の対象に!

親子間で「毎年110万円ずつ10年間にわたり贈与する」という契約(約束)を書面または口頭で締結したとします。
この場合、「初回の贈与をする際に、10年分(総額1,100万円)の贈与について合意がなされた」と解釈されてしまう可能性があります。
結果として、10年分の給付総額(1,100万円)について、契約締結時(初年度)に有期定期金として10年分の給付に関する贈与が成立したとみなされ、割引計算された評価額に対して贈与税が課されてしまいます。
本来であれば贈与税が0円で済むはずが、多額の贈与税を支払うという、非常にもったいない失敗事例です。
税法上の「有期定期金」としての評価
少し細かい話にはなりますが定期贈与と認定されると、その贈与は有期定期金として扱われます。
評価額は、将来受け取る総額を現時点の価値に割り引いて計算され、この評価額に対して贈与税が課税されます。
1年当たりの給付額が110万円
予定利率が0.1%
期間は10年間
上記前提の場合、複利年金現価率9.945になりますので定期贈与とされた場合の初年度に課税される評価額は10,939,500円(=1,100,000円×9.945)となります。

有期定期金の計算に関しては「国税庁」のサイトで簡単に計算できますので、有期定期金の評価をされる方は是非ご活用ください。
贈与税の非課税枠を安全に活用する対策
「毎年110万円の非課税枠」を安全に活用し、税務署から定期贈与と認定されないためには、「毎年、その都度贈与契約を締結すること」が最も重要です。

対策1:将来の贈与を約束しない
今後何年間かにわたって、毎年、定められた金額を贈与する旨の合意を書面や口頭で一切行わないことが大切です。
贈与は毎年単発の出来事として扱い、将来にわたる継続的な約束とみなされないようにしましょう。
対策2:贈与契約書を毎年作成する
贈与の事実と、その贈与が単発であることを明確にするため、以下の工夫を施した贈与契約書を毎年作成し、両者で保管することが推奨されます。
契約書には、贈与する理由を記載する。
契約書の日付を毎年変更する。
対策3:振込等をして記録を残す
贈与の仕方は現金手渡しや銀行振り込みなど様々な方法が考えられますが、おすすめは「銀行振り込み」です。
銀行振り込みであれば、通帳明細に贈与をした日にち、金額が記載されますので、贈与契約書と一緒に保管しておきましょう。
なお、現金手渡しの贈与は記録が残りませんのでおすすめしません。
贈与税の相続税対策は税理士に相談すべき理由
贈与税は、相続税対策の基本ですが、今回の事例のように、書面や口頭での合意の有無など、贈与の仕方一つで課税の有無が大きく変わるデリケートな分野です。
税理士は、定期贈与と認定されないための法的な観点から贈与契約や手続きをサポートします。
また、贈与税の非課税枠以外にも、相続全体を見据えた最適な贈与方法や節税スキームをご提案します。
毎年110万円の贈与を安全に進めるためにも、まずは相続に強い税理士法人シーガルにご相談ください。
この記事の監修者

税理士法人シーガル
代表社員/
税理士・公認会計士
中込 政博
あずさ監査法人・辻本郷税理士法人を経て、税理士法人シーガルを設立。
難しく感じやすい相続の専門用語もわかりやすくご説明しますので、初めての相続の方もご安心ください!

税理士法人シーガル
代表社員/
税理士・行政書士
遠藤 大樹
医療専門会計事務所・税理士法人山田&パートナーズを経て、税理士法人シーガルを設立。
シーガルでは年間60件の相続税申告実績がありますので、相続に不慣れな方へも丁寧にサポートします!
